暮らし 相続

親が亡くなったらやること一覧|手続き・期限・流れをクイックチェック

親が亡くなったらやること

実家の親が亡くなったとき、人は深い悲しみに沈んだり、実感がわかずに戸惑ったり、後悔や安堵が入り混じったりと、さまざまな感情に揺れ動きます。しかし、そんな思いに浸る間もなく、次々と手続きを進めなければならない現実が訪れます。

「葬儀の手配はいつまでに?」「死亡届ってどうするの?」と、何からどう手をつければよいのかわからず、戸惑う方も少なくありません。

実際には、死亡届や葬儀の手配に加え、年金・健康保険の手続き、公共料金やサブスクの解約、遺産相続など、やることは多岐にわたります。

行政手続きや相続関連の中には期限が決められているものも多く、期限のない手続きでも放置すると思わぬ支払いが発生したり、他の手続きに影響したりする場合があります。

落ち着いて進めるためにも、「やることの期限を把握し、時系列で整理しておく」ことが大切です。

この記事では、親が亡くなったあとに必要な手続きを、期限とやるべきタイミングの順で一覧にまとめました。

30日以内にやること

3ヶ月~5年以内にやること

期限はないけど早めがおすすめ

また、うっかりやってしまうと後で困る「やってはいけないNG行動」についてもあわせて解説します。
「何を」「いつまでに」すればよいのかを確認しながら、焦らず一つずつ進めていきましょう。

【この記事を読むとわかること】
・期限付き/タイミング別:親が亡くなったらやるべきこと
・期限に定めはないが早めに済ませたいこと
・やってはいけないNG行動

ダウンロードすると、かなり便利! 各市区町村のおくやみガイド
多くの市区町村では、「おくやみガイド」 が用意されています。
ご家族が亡くなられた後に必要な手続きや、役所の担当窓口などが具体的に記されているため、ホームページからダウンロードしておくと便利です。
あらかじめ確認しておくことで、手続きや問い合わせがスムーズに進められます。

≪市区町村のお悔みガイドの例≫
東京都千代田区「おくやみガイドブック2026」
東京都渋谷区「おくやみハンドブック」
東京都豊島区「お悔み手続きガイド」
愛知県名古屋市「おくやみパンフレット」
大阪府大阪市浪速区「おくやみ手続き案内」

死亡当日

死亡当日にやるべきことは、次の通りです。

【死亡当日にやるべきこと一覧】
・死亡診断書の受け取り
・葬儀社の手配/遺体の搬送・安置(死亡後数時間内)

・葬儀形式・葬儀日程の決定

入院中に亡くなった場合は、遺体の搬送(死亡後、数時間内)が期限のある対応となります。
また、死亡診断書は、「死亡届」と一枚続きの書類になっており、死亡届は死後7日以内に役所に提出する必要があります。そのため、死亡診断書(死亡検案書)は通常、当日中に受け取ります。

詳しい内容と注意点は次の通りです。

死亡診断書の受け取り

死亡当日に、亡くなったことを医師に確認してもらい、「死亡診断書」を発行してもらいます。

「死亡診断書」は、亡くなった事実を証明する公的書類で、その後、火葬や埋葬、相続など、死亡後のさまざま手続きに必要となるものです。

診療を担当している医師が発行しますが、特に診療を受けていない状態で亡くなった場合は、警察による検視を経て作成される「死体検案書」が交付されます。

死亡診断書・死体検案書は、役所へ死亡届を出す際に原本を提出するため、後の各種手続きのためにも、5~10枚ほどコピーを取っておく必要があります。

葬儀社の手配・遺体の搬送

在宅でなく病院で亡くなった場合は、長時間遺体を病院に留めておくことはできないため、数時間以内に搬送する必要があります。死亡診断後、看護師などによるエンゼルケア(死後処置)が行われた後、葬儀社に依頼して搬送してもらうのが一般的です。

葬儀会社をまだ決めていない場合は、病院に紹介してもらうことも可能です。なお、搬送を依頼する葬儀社と、実際に葬儀をお願いする葬儀社は同じでなくても構いません。搬送は病院から紹介された葬儀社にお願いし、葬儀自体は後日、家族の希望に合う別の葬儀社に依頼するケースもよくあります。

搬送先は、自宅や葬儀社の安置施設、民間の霊安室などになります。

在宅で亡くなった場合は、主治医の死亡確認、あるいは警察の検査手続き後、そのまま自宅に遺体を安置できます。エンゼルケアは訪問看護士か葬儀社のスタッフが行い、家族も手伝うことが可能です。

葬儀形式・葬儀日程を決める

葬儀について形式や日程を具体的に決め、手配を進めます。

葬儀形式には主に次の4種類があります。

  • 一般葬:遺族・親族、友人、職場関係者など幅広い人を招いて行う
  • 家族葬:遺族や親しい友人など、少人数(10〜30名程度)で執り行う
  • 一日葬:通夜を省略し、告別式と火葬を1日で行う
  • 直葬(火葬式):通夜や告別式を行わず、火葬のみを執り行う

希望する葬儀形式を多く取り扱っている葬儀社を選ぶと、手続きがスムーズです。葬儀社を決めると、担当者が日程調整などの段取りを進めてくれます。

葬儀日程は、葬儀社の担当者に相談しながら、火葬場や式場の空き状況、僧侶や神父などのスケジュール、遺族や参列者の予定などを考慮して決定します。

亡くなった日を1日目とすると、2日目にお通夜、3日目に葬儀・告別式と火葬を行う3日間が基本です。

死亡後7日以内にやること

死亡後7日以内にやることは次の通りです。

【死後7日以内にやること一覧】
・死亡届(死後7日以内)/火葬許可申請(葬儀の前)の提出
・通夜・葬儀・初七日

期限のあるものとしては、死亡届は、死後7日以内に提出しなければなりません。また、火葬を行う場合は、火葬の前に火葬許可証を発行してもらう必要があります。

詳しい内容と注意点を順に解説します。

死亡届・火葬許可申請の提出

死亡後7日以内に行うべき最初の手続きは、死亡届と火葬許可申請書の提出です。

死亡届は、死亡を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は3ヶ月以内)に提出する必要があります(戸籍法第86条)。

また、火葬を行うには死亡届とあわせて火葬許可申請を提出し、役所から火葬許可証を発行してもらわなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律第5条、第8条)。なお、法律では、死後24時間以上経過しないと火葬を行えないと定められているため、火葬は最短でも「亡くなった日の翌日以降」に行うのが一般的です。(墓地、埋葬等に関する法律第3条)

火葬をいつまでに行わなければならないという期限はありませんが、通常は死亡届と火葬許可申請を同時に役所へ提出します。葬儀社を利用する場合、これらの手続きを葬儀社が代行してくれるケースがほとんどです。書類の記入は家族が行う必要がありますが、記入方法も丁寧に案内してもらえるため安心です。

死亡届は死亡診断書と一枚続きの書類になっているため、提出時に死亡診断書の原本も提出することになります。今後の手続き(保険・年金・相続など)に備え、提出前にコピーを取っておくなど、控えを必ず保管しておきましょう。

通夜・葬儀・初七日

死後7日以内に、通夜、葬儀、初七日法要が行われるのが一般的です。

葬儀は、死亡届の提出後に火葬許可が下りてから執り行われます。一般的には、亡くなった翌日または翌々日に通夜を行い、その翌日に葬儀・告別式を執り行う流れです。最近では通夜を省略し、葬儀と火葬を同日に行う一日葬を選ぶケースも増えています

葬儀当日は、葬儀社の担当者の案内に従って進行します。

遺族は受付や会計、供花・弔電の確認などの対応があるため、役割分担をあらかじめ決めておくとスムーズです。葬儀は規模にかかわらず細かな準備が多いため、事前に葬儀社へ相談し、やるべきことを明確にしておくと安心です。

葬儀後には、宗派によって初七日法要を亡くなってから7日目に行う場合があります。ただし、最近では、葬儀当日に初七日法要を併せて行う「繰り上げ初七日」も一般的です。

なお、葬儀後の手続きに備えて、関連費用の領収書はすべて保管しておきましょう。香典返しや税務申告などで必要になる場合があります。

死亡後10~14日以内にやるべきこと

死後10~14日以内に行う必要がある主な手続きは次の4つです。

【死後10~14日以内にやること一覧】
・世帯主変更の届出(死後14日以内)
・年金受給停止手続き(厚生年金は死後10日以内、国民年金は14日以内)
・介護保険証等の返却(死後14日以内)
・健康保険証の返却・資格喪失届(死後14日以内)

これらはいずれも期限が定められた公的な手続きです。順に見ていきましょう。

世帯主変更の届出

亡くなった方が世帯主であり、その世帯に15歳以上の方が2人以上いる場合は、死後14日以内に新しい世帯主を決めて、世帯主変更の届出を行う必要があります。

一方、残された方が15歳以上1人のみの場合(例:高齢夫婦2人の世帯で片方が亡くなったケースなど)は、その方が自動的に世帯主となるため、届出は不要です。

年金受給停止手続き

亡くなった方が年金を受給していた場合、厚生年金は10日以内国民年金は14日以内に受給停止の手続きを行う必要があります。

手続きを行わないままにすると、死亡後も故人の口座に年金が振り込まれ、「不正受給」の状態となるため注意が必要です。

なお、亡くなった月分までの未払い年金がある場合は、「未支給年金」として、生計を同じくしていた遺族が受け取れます。この場合は「年金受給権者死亡届(報告書) 兼 未支給年金・未支払給付金請求書」を年金事務所などに提出します。

手続きの詳細は、日本年金機構のホームページで確認できます。
日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」

なお、遺族年金を受け取れる方がいる場合、手続きから実際の支給まで2~3ヶ月ほどかかるため、この受給停止手続と同時に早めの申請を行うのがおすすめです。

「未支給年金」や「遺族年金」は5年で時効のため、早めの申請を!
「未支給年金」や「遺族年金」は、死亡の翌日から5年が経過すると時効により受け取る権利が消滅します。過去分も含めて一切受け取れなくなるため、早めの申請が安心です。

【遺族年金とは】
遺族年金は、国民年金または厚生年金保険の被保険者が亡くなった際、その方によって生計を維持していた遺族が受け取ることができる年金です。
「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、加入状況によって、いずれかまたは両方が支給されます。特に亡くなった世帯主と生計を共にしていた場合、支給までの間は収入が途絶えるため、早めに手続きが大切です。

詳しくは以下のページもご参照ください。
日本年金機構「遺族年金」

介護保険証等の返却

亡くなった方が介護保険制度を利用して介護サービスを受けていた場合は、死後14日以内に、管轄の役所に資格喪失の手続きを行い、「介護保険証(介護保険被保険者証)」を返却します。

この手続きを怠ると、介護保険料の過不足分の精算や還付が遅れるおそれがあります。

未納の保険料がある場合は相続人に請求され、反対に保険料を納めすぎている場合は相続人に還付されます。なお介護保険料の還付は、「未支給年金」や「遺族年金」とは異なり、「相続財産」として扱われます。

健康保険証の返却・資格喪失届

健康保険証は、死後14日以内に「資格喪失届」を提出し、保険証を返却します。

手続きの窓口は、加入していた保険制度によって次のように異なります。

  • 国民健康保険または後期高齢者医療保険:管轄の役所
  • 社会保険(会社の健康保険):勤務先

また、多くの場合、故人が加入していた健康保険制度から「葬祭費」が支給されます。保険証の返却とあわせて、葬祭費の申請も行うとよいでしょう。支給額は制度や健康保険組合によって異なりますが、一般的には5万円前後です。

なお、原則として複数の組合や機関から葬祭費を重複して受け取ることはできません。申請時には葬儀の事実を確認するため、葬祭に関する領収書や会葬御礼ハガキなどの提出を求められる場合があります。葬儀後は速やかに手続きを進めるようにしましょう。

犬の所有者・所有地の変更(飼い主変更から30日以内)

亡くなった方が飼っていた犬の飼い主が変更となった場合、新しい飼い主が犬を引き取ってから30日以内に、所有者および所有地の変更手続きを行う必要があります。

手続きは、登録形態によって次のように異なります。

  • 犬鑑札(現物)を所有している場合:新しい犬の所在地を管轄する自治体で手続きする
  • マイクロチップ(みなし鑑札)の場合:環境省のサイト「犬と猫のマイクロチップ情報登録」にアクセスし、所有者変更の手続きをする

期限までに手続きを行わないと、狂犬病予防法違反となり、罰則が科される可能性があります。早めに手続きを済ませておくことが大切です。

死亡後3〜10ヶ月以内にやること

死後3~10ヶ月以内にやることには、相続に関するものが中心です。

【死後3~10ヶ月以内にやること一覧】
・遺言書の確認
・相続財産の確認
・相続人の確定
・相続放棄・限定承認(死後3ヶ月以内)
・所得税の準確定申告(死後4ヶ月以内)
遺産分割協議(相続税の申告までに)
・相続税の申告・納付(死後10ヶ月以内)

相続関連で最初に期限が来るのは、相続放棄や限定承認(死後3ヶ月以内)です。
遺言書の確認や相続財産の把握、相続人の確定などは期限が定められていませんが、相続放棄の判断をする段階までに済ませておく必要があります。(なお、相続財産や相続人の調査に時間がかかるような場合には、家庭裁判所において、期限を延長してもらうことも可能です。)

詳しい手続きの流れと注意点は次の通りです。

遺言書の確認

相続の話し合いを始める前に、まず「遺言書があるかどうか」を確認することが大切です。

遺言書には主に3つの種類があります。

1.自筆の遺言書
 本人が自分で書いた遺言書で、自宅や貸金庫などに保管しているもの
2.公正証書遺言
 公証人が作成した遺言書で、公証役場に保管しているもの
 
3.法務局に保管された自筆証書遺言
 本人が自筆で作成した遺言書を、法務局の「遺言書保管制度」を利用して預けているもの

「2.公正証書遺言」の場合、相続人であれば、公証役場の「公正証書遺言検索システム」を使って確認可能です。
また、「3.法務局に保管された自筆証書遺言」の場合、相続人や受遺者(遺言で財産を受け取る人)は、遺言者が亡くなった後に法務局へ申請することで、遺言書があるかどうか、またその内容を示す証明書を発行してもらうことが可能です。なお、遺言者が生前に「指定者通知(死亡時通知)」を申し出ていれば、法務局が故人の死亡を確認した後に、遺言書を保管している事実を、遺言者が指定した相続人に通知します。

参考:政府広報オンライン「知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐには?【基礎編】」

相続財産の確認

相続手続きを進めるためにも相続財産の確認が必要です。

下記は確認方法の一例です。

預貯金:通帳やキャッシュカード、郵便物などから利用していた口座を確認します。相続人であれば、残高証明書の発行を依頼できます。
不動産:固定資産税の納付書に同封されている固定資産税課税明細書で確認します。固定資産税の支払いがない不動産については、不動産のある市区町村の役場の窓口で請求できます。
有価証券:証券会社からの郵便物や配当通知などで確認できます。
借金(負債):通帳や郵便物で確認するほか、相続人は故人の借入履歴を各信用情報機関に開示請求することもできます。未納や滞納している税金がある場合は「納税義務承継通知書」が届きますが、届くまで数ヶ月かかる場合もあるため、生前の住所地を管轄する税務署や役所で確認するとよいでしょう。

その他、仮想通貨、保険積立金、ゴルフ会員権、貴金属・美術品・骨董品などの確認も必要です。

相続人の確定

相続手続きを進めるためにも相続人の確定が必要です。

民法で、相続人は次の順位で決められています。前の順位の人が相続人になれば、次の順位の人は相続人ではなくなります。

被相続人(故人)の配偶者は、常に相続人となる
第1順位:被相続人(故人)の(養子も含む・子が死亡の場合は孫)
第2順位:被相続人(故人)の父母(直系尊属)
第3順位:被相続人(故人)の兄弟姉妹(兄弟姉妹がすでに死亡の場合は甥・姪)

確認のために、被相続人(故人)の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を取り寄せ、内容を読み取るといった方法が取られます。主に、認知した子、前妻(前夫)の子、養子を含めて子が何人いるかなどを確認します。

相続放棄・限定承認(相続開始を知ってから3ヶ月以内)

相続放棄や限定承認をしたい場合は、自分が相続人になったことを知ってから3ヶ月以内の手続きが必要です。

相続放棄とは、亡くなった方の財産についての権利や義務を一切相続しないことです。相続放棄すると、現預金などのプラスの財産があっても引き継がれない代わりに、多額の借金などの支払い義務を放棄できます。

限定承認とは、亡くなった方のプラスの財産からマイナスの財産を差し引いて、財産が残れば相続するという方法です。

それぞれ家庭裁判所に申し出て、認めてもらうための手続きをする必要があります。

所得税の準確定申告(死後4ヶ月以内)

亡くなった方が次のいずれかに該当する場合、相続人が代わりに確定申告(準確定申告)を行う必要があります。なお、申告期限は死後4ヶ月以内です。

【準確定申告が必要なケース】
自営業やフリーランスで所得があった人
・不動産の貸付収入があった人
・給与収入が2,000万円を超えていた人
・副業の所得が20万円を超えていた人
・公的年金の収入が400万円を超えている、または年金以外に20万円超の所得がある人

亡くなった年の1月1日から死亡した日までの所得を計算し、故人の住所地を管轄する税務署へ申告と納税を行います。この手続きを怠ると、税金の過不足や還付の遅延につながるため、期限内の対応が大切です。

還付申告は5年以内に!
準確定申告をする義務がない場合でも、医療費控除などで税金が戻ってくる可能性があるときは、5年以内に準確定申告を行うことで還付を受けられます。
「亡くなった年の医療費が多かった」「生命保険料控除などで還付が出る可能性がある」といったケースで該当しそうな場合は、確認しておくと安心です。

遺産分割協議

遺産分割協議とは、亡くなった方(被相続人)の財産を相続人全員でどのように分けるかを話し合い、決める手続きです。
遺言書の内容を確認し、相続財産と相続人が確定した後に行います。

協議の結果がまとまったら、遺産分割協議書を作成します。
この書類には、相続人全員の署名と押印が必要です。
遺産分割協議書は、預貯金の名義変更や不動産の登記申請など、後の手続きで提出を求められる重要な書類となります。

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることもできます。
円滑に進めるためには、専門家(司法書士・弁護士・税理士など)に相談するのも一つの方法です。

相続税の申告・納付(10ヶ月以内)

相続には相続税がかかります。相続税の申告は、被相続人(亡くなった方)が死亡したことを知った日(通常は死亡日)の翌日から10ヶ月以内です。

ただし、遺産の総額が「基礎控除」の範囲内であれば、申告の必要はありません。基礎控除を超える財産がある場合のみ、税務署への申告と納税が必要になります。

なお、相続税の基礎控除額は、相続人の数によって変わり、次の計算式で計算されます。

【相続税の基礎控除額の計算方法】
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が「妻と子3人」の場合は相続人の数は4人なので次のように計算します。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 4人 = 4,800万円

この場合、遺産総額が4,800万円以下なら相続税の申告は不要です。一方で、遺産がこの金額を超える場合は、税務署への申告と納税が必要です。

相続税の「配偶者控除」の適用を受ける場合は相続税の申告が必要
相続税の配偶者控除(配偶者の税額の軽減)を受けるには、控除によって税額が0円になる場合でも、相続税の申告が必要です。
相続税の配偶者控除とは、故人の配偶者が実際に取得する正味の遺産額が、1億6千万円か配偶者の法定相続分相当額か、どちらか多い金額までは、配偶者に相続税はかからないという制度です。たとえば、遺産額が1億6,000万円までであれば、すべて配偶者が相続すれば、その家族に相続税はかかりません。他の法定相続人と配偶者が遺産を分け合った場合でも、この制度を利用すると配偶者が取得した分には、相続税はかからないこととなります。
この制度を利用するには、相続税の申告期限までに遺産分割を完了し、税務署に相続税の申告書を提出する必要があります。

参考:国税庁「相続税の計算」「配偶者の税額の軽減」

葬祭費の申請(葬儀の翌日から2年以内)

葬儀の翌日から2年以内に行う手続きとして、葬祭費(埋葬費)の申請があります。

健康保険証の返却・資格喪失届」の項でも解説しましたが、国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた方は、「葬祭費」が支給されます。会社の健康保険によっては「埋葬費」または「埋葬料」と呼ばれる場合もあるでしょう。

支給額は制度や健康保険組合によって異なりますが、一般的には5万円前後です。

なお、複数の組合や機関から重複して受け取ることはできません。申請時には葬儀の事実を確認するため、葬祭に関する領収書や会葬御礼ハガキなどの提出を求められる場合があります。葬儀後は忘れずに2年以内に申請を済ませましょう。

相続登記(不動産の相続を知った日から3年以内)

不動産を相続した場合は、3年以内に相続登記が必要です。

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に、新しい所有者(相続人)へ名義を変更する手続きのことです。法改正により、2024年4月1日からこの手続きが義務化され、申請期限は「所有権を取得したことを知った日から3年以内」となりました。

「所有権を取得したことを知った日」 とは、自分が相続人であり、不動産を相続すると認識した日のことです。

たとえば、親が持ち家に住んでいて亡くなった場合、通常は子は自分が相続人であることや、相続財産に家が含まれていることを認識しているので、親が亡くなった日が基準となります。

一方、相続人が複数いて、遺産分割協議で自分が不動産を相続すると決まった場合には、遺産分割が成立した日から3年以内に申請する必要があります。

相続登記を怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があるため、早めに手続きを進めておくと安心です。

参考:法務省「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」

対象日から5年以内

対象日から5年以内にやることには、次の2つがあります。

【対象日から5年以内にやること一覧】
・「未支給年金」や「遺族年金」の申請
・還付申告(翌年1月1日から5年以内

詳しくは次の通りです。

「未支給年金」や「遺族年金」

年金受給停止手続き」の欄でもお伝えしましたが、「未支給年金」や「遺族年金」は死亡の翌日から5年が経過すると時効により受け取る権利が消滅します。そのため、早めに申請するようにしましょう。

未支給年金とは、年金受給者であった故人に対して、本来支払われるはずだった年金で、まだ支払われていない部分のことです。生計を同一にしていた親族であれば、未支給年金を受け取れます。未支給年金は相続税の対象とはなりませんが、受給した遺族の一時所得扱いとなり、所得税の対象となります。

遺族年金とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者が亡くなった際、その方によって生計を維持していた遺族が受け取ることができる年金です。「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、加入状況によって、いずれかまたは両方を受給できます。遺族年金には、相続税も所得税もかかりません。

申請から支給まで2~3ヶ月かかるため、早めに手続きが大切です。

詳しくは次のページも参考にしてください。

日本年金機構「遺族年金」
国税庁「未支給の国民年金に係る相続税の課税関係」
国税庁「遺族の方に支給される公的年金等」

還付申告(翌年1月1日から5年以内)

亡くなった方の納めた税金について払い過ぎがある場合は還付申告によって税金を取り戻すことができます。申告期限は、還付の対象となる年の翌年1月1日から5年間です。

所得税の準確定申告(死後4ヶ月以内)」でも触れたように、亡くなる前に医療費が多くかかった場合や生命保険料を支払っていた場合には、医療費控除や生命保険料控除によって税金が戻る可能性があります。この還付金を受け取るための手続きが還付申告です。

たとえば、2025年に亡くなった場合は、2026年1月1日から2030年12月31日までが申告可能期間となります。期限を過ぎると還付を受けられなくなるため、該当しそうな場合は早めに確認しておくと安心です。

参考:国税庁「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」

随時対応すべきこと

明確な期限がないものの、早めに対応しておくと安心な手続きがあります。

【随時対応すべきこと一覧】
・水道・電気・ガスなどの公共料金の解約や名義変更
・住民税の未払い分の支払い
・自動車・軽自動車・原付などの廃車等手続き
・サブスク・スマートフォン・クレジットカードなどの解約
・生命保険金の受取
・パスポートの返却

早めに対応することで、継続的な料金の支払いやトラブルを防げます。

水道・電気・ガスなどの公共料金の解約や名義変更

故人が契約者(名義人)だった公共料金などの契約について、解約または名義変更の手続きが必要です。故人の住んでいた家を引き続き家族が使う場合は「名義変更」を、誰も住まなくなる場合は「解約」を行います。

手続きを放置すると、故人の名義で料金が発生し続けたり、故人の口座が凍結されて引落ができなくなったりするおそれがあります。早めに対応するようにしましょう。

また、未払料金がある場合は、法定相続人が支払う義務を負います。この際は、相続人自身の財産(預貯金など)​から支払うようにしましょう。

故人の財産、遺産分割前の預貯金口座は、相続人全員の共有財産にあたるため、勝手に使用するとトラブルの原因になりかねません。
また、故人の財産から支払うと「法定単純承認」と見なされ、後で相続放棄をしようとしてもできなくなる場合もあります。

立て替えて支払った未払い金は、相続や相続税の計算時に「債務控除」として遺産総額から差し引くことができます。
後日の精算や申告に備えて、領収書は必ず保管しておきましょう。

なお、あらかじめ相続放棄を予定している場合は、立替払いをする必要はありません。
相続放棄をすると故人の債務を負う義務はなくなるからです。
仮に立て替えて支払ったとしても、第三者弁済(肩代わり)として扱われ、後に立替金を回収することは困難になります。

住民税の未払い分の支払い

亡くなった方に住民税の未払いがある場合は、納付通知書に記載の期限までに支払う必要があります。

住民税は、その年の1月1日に生存していた人に対し、前年分の所得に応じて課される税金です。亡くなったからといって免除されるものではなく、死亡後も納税通知書は届きます。そのため、相続人が納税義務を引き継ぐことになります。

未払い分の住民税は、相続人自身の財産(預貯金など)から支払い、納付書の控えを必ず保管しておきましょう。後日の精算や相続税の申告時に必要となる場合があります。

なお、相続放棄の場合は、故人の債務も引き継がれなくなるため、住民税の未納分を支払う必要はありません。

自動車・軽自動車・原付などの廃車等手続き

亡くなられた方の自動車・軽自動車・原動機付自転車(125cc以下)の廃車または名義変更の手続きが必要です。この手続きをしないと、4月1日の所有者に対して自動車税や軽自動車税などが課税されます。

なお、廃車でなく相続を経て名義変更をする場合、新しい所有者は、その事由があった日から15日以内に、移転登録の申請をする必要があります。

サブスク・スマートフォン・クレジットカードなどの解約

故人名義で契約しているサブスク型サービス(定額制サービス) や スマートフォン、クレジットカードは、解約手続きが必要です。

スマートフォンを先に解約してしまうと、サブスク型サービスの解約や名義変更の際に必要な 二段階認証(本人確認のためのコード送信など) が使えなくなる場合があります。そのため、スマートフォンはサブスク型の解約が済んでから手続きするのがおすすめです。

クレジットカードは名義変更ができないため、解約手続きのみ可能です。放置すると、不正利用や年会費の請求などのリスクがあるため、カード会社に連絡し、速やかに手続きを進めましょう。

生命保険金の受取

故人が生命保険に加入していた場合は、まず 保険証券(契約内容が記載された書類) を確認しましょう。そのうえで、保険契約者 または 保険金の受取人 が、生命保険会社の担当者や問い合わせ窓口に連絡します。

保険会社に連絡すると、必要書類や手続き方法の案内が送られてくるので、案内に沿って、保険金の受取人が請求手続きを行います。

保険金を請求できる期間(時効)は、約款に定められており、一般的には「支払事由が発生した日(亡くなった日など)の翌日から3年間」とされています。
期限を過ぎると受け取れなくなる場合があるため、気づいたら早めに手続きを進めましょう。

パスポートの返却

パスポートについては、名義人が死亡した場合、返却する必要があります(旅券法第19条)。

返却の際は、名義人が亡くなったことを証明できる書類(例:死亡診断書のコピー や 戸籍謄本 など)を添えて、最寄りの都道府県のパスポートセンターへ届け出ましょう。

なお、死亡を証明する書類の提出が不要な場合や郵送での返却を受け付けていない場合も少なくありません。対応は自治体によって異なるため、事前にパスポートセンターへ電話で確認しておくと安心です。

【住民票の抹消とともに自動的に無効になるもの】
死亡と同時に無効となり、返却の義務のないものには次のようなものがあります。
👉マイナンバーカード
マイナンバーカードは、死亡届が出されて住民票が消除されると、自動的に無効となるため、返却の必要はありません。
なお、故人のマイナンバーカードは名義変更や解約などの各種手続きに必要となる場合があるので、しばらく保管しておくのがおすすめです。
👉印鑑登録
住民票が抹消されると同時に印鑑登録も廃止となるため、印鑑登録証を返却する必要はありません。返却の義務はないため、ハサミをいれて処分するか、処分しにくい場合は役所の窓口に返還することもできます。
👉運転免許証
運転免許証についても、死亡と同時に効力がなくなり、特に返却の義務はありません。しかし、悪用を防ぐためにも返納を希望する場合は、返納も可能です。死亡診断書などの必要書類を添えて、警察署・運転免許センターに返納します。

やってはいけないNG行動は?

親が亡くなった後、手続き上、やってはいけない行動、避けた方がいい行動もあります。

具体的には次の3つです。

1)亡くなった親の財産を勝手に使ったり、処分したりすること
2)遺言書を勝手に開封すること
3)スマートフォンの即時解約すること

それぞれ詳しく見ていきましょう。

亡くなった親の財産を勝手に使ったり、処分したりすること

亡くなった親の財産を勝手に使うことは原則NGです。

特に親が亡くなったら、葬儀や後片付け、未払金の対応などで出費がかさみ、親の口座の預金を利用したくなることも多いでしょう。

しかし、故人名義の銀行口座は原則として、相続人の共有財産のため、勝手に使うことはできませんし、使うとトラブルの原因になりやすくなります。また、故人の財産を故人の未払金の支払いに充てると、法律上「相続をすべて受け入れた(単純承認)」と見なされ、その後、相続放棄や限定承認をしたくてもできなくなる可能性があります。

なお、葬儀代など必要に迫られて使う場合には、遺産分割前の預貯金の仮払い制度が利用できます。

これは、遺産分割協議が成立する前に、故人の葬儀費用などの支払いに充てるため、故人の預貯金から一定額を相続人単独で払い戻せる制度です。金融機関では、故人の死亡を知った時点で故人の口座は凍結されますが、この制度を利用すると、金融機関1つごとに、下記の1)と2)の金額のうち低い金額の範囲内で、引き出すことができます。

1)相続開始時点の預金残高 × 1/3 × 申請者の法定相続分
2)150万円(金融機関ごとの上限額)

ただし、この制度を利用すると単純承認とみなされ、相続放棄は出来なくなる点に注意が必要です。

遺言書を勝手に開封すること

亡くなった方の封がされている遺言書を見つけた場合、勝手に開けないようにしましょう。

自筆証書遺言は、偽造や変造を防ぐため、家庭裁判所での検認手続きを経ることになっています。

勝手に開けると罰則を開封してしまうと法律違反となり、5万円以下の過料(罰金)を科せられる可能性があります。

スマートフォンの即時解約すること

スマートフォンの即時解約は避けた方がよいでしょう。

なぜなら、サブスクなどの定額サービスの登録情報を確認したり、解約したりする際に、SMS(ショートメッセージ)や電話番号による二段階認証でスマートフォンを利用しなければならないことがよくあるからです。

また、故人の知人からの連絡や電話が届くことがあるため、必要な手続きや連絡先などを確認したのちに解約するのがよいでしょう。

まとめ

親が亡くなったあとには、葬儀や行政手続き、契約の解約、相続など、取り組むべきことが数多く発生します。

一つずつ進めていけば問題ありませんが、なかには期限が決められている手続きや、放置すると支払いが続いてしまうものもあります。

そのため、まずは「どの手続きに期限があるのか」「全体の流れがどうなっているのか」を把握し、時系列で整理しておくことが大切です。

全体像をつかみ、焦らず、確実に必要な手続きを進めるようにしましょう。

-暮らし, 相続